外国人材に選ばれる、魅力的な地域社会へ
-社会福祉法人寿康会-

寿康会は1973年に設立された社会福祉法人です。特別養護老人ホーム「寿康園」をはじめ、居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションなど、計12事業所を鹿児島市内で展開しています。2015年より外国人材の受入れを推進し、2017年に3名のインドネシア人を受入れました。養護老人ホーム「吉田寿康園」園長兼法人事務局長の上村さんに外国人材の受入れと定着のために必要なことをうかがいました。

外国人材に選ばれる、魅力的な地域社会へ
外国人材に選ばれる、魅力的な地域社会へ

今では外国人材は必要不可欠なほど

外国人材の採用を考えた当初はベトナム人の採用を検討しました。しかし、当時はベトナム人材の人気が高かったことと、関係者にインドネシアで10年くらい仕事をしていた人がいたこともあり、倍率の低かったインドネシア人の採用に踏み切りました。
最初はインドネシアの文化や風習も分からない状況でしたから職員全員でインドネシアのことを学びました。特にイスラム教については分からないことも多かったのでいろいろ学びましたね。
初めてインドネシア人を採用したのが2017年。それから4年ほど経ったのですが、現在ではインドネシア人を採用して本当によかったと感じています。宗教的な理由もあり、お酒を飲まないし、タバコも吸いません。入職してきた人に限れば、みんな真面目に仕事をしてくれますし、シェアハウス内でのトラブルもありません。当法人で働いているのは1人が20歳で、他の2人は23歳なのですが、全員が将来を見据えていて目標に向かってがんばってくれます。外国人材はこれからも必要不可欠といった感じです。
文化や風習の違いも、入職時に話し合うことで解決していきました。まずお祈りについてはお昼休みを使うように指示し、理解してもらいました。本当は専用の部屋を設けるのがいいのですが、6畳くらいの使っていないスペースを使ってもらっています。食事に関しても、当法人では職員用の食事を提供しているのですが、彼らの食事は豚を口に入れることができないし酒やみりんも駄目なので、彼ら専用のフライパンや鍋を準備し調理員に食事を作ってもらうなど対応しています。

今ではインドネシア人材以外の選択肢はないほど
今ではインドネシア人材以外の選択肢はないほど

地域社会から言われた「昔の日本人みたいだね」という言葉

働き始めた当初はお互いに試行錯誤はありました。やはりコミュニケーションの部分は難しかったですね。
「分かりません」「いいえ」と言うのが失礼だと思っているようでした。「分かりましたか?」と聞くと「はい」と答えるのですが、実際にやってもらうとできない。そういったことが頻発しました。なので、こちらの指示する側も意識を変える必要がありました。分からないときは「分かりません」と言ってくださいとお願いし、説明する側も指示内容を説明し、分かっているかどうか動いてもらって確認をする、などの対策を行い、お互いに歩み寄る形で仕事がスムーズに流れるようになりました。
また、当法人は鹿児島市の北部に位置し、昔から地域社会を大事にして取り組んでいたので地域社会との接点も積極的につくるよう心がけました。入職したときに行政や消防、民生委員、自治会長、近隣住民などに挨拶に行きました。地域の行事にもできるだけ一緒に参加するようにして、地域の人たちに受入れの協力をお願いしました。最初は確かに警戒されていたのですが、面会して話をするうちにすんなりと受入れてもらうことができたように思います。興味深かったのが、「昔の日本人みたいだね」と言われたことですね。実直で真面目な人柄がそのように映ったのだと思っています。
最近では、地域の行事や清掃活動にも参加しているようで、地域社会にも溶け込んでくれているようです。「次、外国人材の人、いつ来るの?」と言われたときはうれしかったですね。

地域社会から言われた「昔の日本人みたいだね」という言葉
地域社会から言われた「昔の日本人みたいだね」という言葉

地域社会と一体となって魅力的な街づくりを目指す

外国人材を受入れたことで、職場内にも好影響が生まれました。国際的な視点というか、肌感覚として多様性を実感できた感覚があります。彼らが真面目に、勉強や仕事をするというのもあるのですが、日本人職員も触発されて「勉強しなければ」という空気が生まれました。また、日本人を採用した場合には「なぜ仕事ができない?」という不満が生まれがちなのですが、外国人材の場合はコミュニケーションのハードルもあり「できなくて当たり前、だからしっかりと教えなければいけない」という意識が浸透しました。日本人採用に関してもどんな方が入職しても受入れられるという自信につながりました。
確かに日本人を採用できるならそれに越したことはありません。しかし鹿児島には介護の専門学校も少ないですし、人口が減少していく社会情勢の中では外国人材の受入れという選択肢を持っておくことは法人経営には必要だと感じています。
当法人では外国人材の受入れに合わせて、介護福祉士の資格を取得するための費用や住居費用を負担しています。もしかすると、こういった取組みを制度化できれば、一般の高校にも展開できるのではないか、と考えています。高校を卒業して入職してもらい、働きながら介護福祉士の資格を取得してもらう。そういった未来を見据えて高卒の新規採用を始めたのですが、これも外国人材の受入れという経験があったからですね。
介護業界だけにとどまらず、今後はますます人材の採用は大きな課題になっていくと考えています。外国人材にとっても日本が魅力的な国にならなければならないと思います。
だからこそ、企業や地域社会、私どものような介護事業所が一体となって、魅力的な地域社会をつくり上げる必要があると考えます。外国人材が母国に帰った場合でも「もう一度、日本に。鹿児島に。そして寿康園に。戻ってきたい」と思ってくれるようにすべての関係者が協力して外国人が働きやすい地域社会にしていくようがんばっていきたいと考えています。

社会福祉法人寿康会

1973年に「社会福祉寿康会」を設立。その後、ケアハウスや養護老人ホーム、訪問介護事業所など計12事業所を鹿児島市内に展開して経営を行っている。

オンラインインタビュー時の様子(上村さん)

1973年に「社会福祉寿康会」を設立。その後、ケアハウスや養護老人ホーム、訪問介護事業所など計12事業所を鹿児島市内に展開して経営を行っている。

オンラインインタビュー時の様子(上村さん)